🐣 ひよこ寺子屋

フリーランス1年生のあるある解決帳 #01

フリーランスの提案が通らない本当の理由は「話す順番」。商談プレゼンの10ステップ【説得の価値観10】

結論:フリーランスの提案が通らない原因の大半は、実績や価格ではなく「話す順番」です。顧客は①興味性→②自己開示→③夢→④問題提起→⑤ノウハウ→⑥メリット→⑦価格→⑧限定性→⑨不信の払拭→⑩後押しの10個の関門を順番に通過して決断します。順番どおりに一つずつ潰せば、同じ実績・同じ価格でも提案の通過率は変わります。

執筆・監修: 吉留 大貴(ひよこ寺子屋 運営(中の人)/ LINEマーケティングコンサルタント)/ 公開: 2026年8月2日

フリーランスの提案が通らない本当の理由は「話す順番」。商談プレゼンの10ステップ【説得の価値観10】

丁寧に見積もりを作って、実績も見せて、金額の説明もした。なのに返ってくるのは「社内で検討しますね」——そのまま、二度と連絡が来ない。

フリーランス1年目で、これを経験したことがない人はほぼいません。多くの人はここで「実績が足りない」「価格が高かった」と結論づけて、値下げを始めます。

でも、相談に乗っていて毎回思います。落ちている理由の大半は、実績でも価格でもなく「話す順番」です。

この記事では、人が「お願いします」と決めるまでに通過する10個の心理的な関門(説得の価値観10)を、そのまま商談で使えるセリフの型まで含めて解説します。読み終わる頃には、次の商談のプレゼン台本が組める状態になります。

提案が通らない2大パターン——順番を飛ばしている

通らない提案には、ほぼ共通のパターンがあります。

  1. ①興味性と②自己開示を飛ばして、いきなり⑤「私のサービスは〜」から話し始める
  2. ⑥メリットを積み切る前に、⑦価格を出してしまう

落ちる提案と通る提案の対比

どちらも内容の問題ではありません。順番の問題です。だから、直すのも順番だけでいい。ここからその順番を渡します。

大前提:これは「ヒアリングの後」に使う武器

説得の価値観10は、ヒアリングが終わったあとの「プレゼン(提案の場)」で使うものです。商談は2部構成で考えてください。

  • 1回目=ヒアリング(聞く日):現状・数字・困りごと・予算感・「相手が使った言葉そのもの」を聞き切る日。売り込みません
  • 2回目=プレゼン(話す日):ヒアリングで得た材料を、①〜⑩の順番に組んで提案する日

⑤の診断も、⑦での「相手の言葉の引用」も、⑨の不安潰しも、弾は全部ヒアリングから来ます。ヒアリングをせずにやると全部が空回りします。ヒアリングのやり方は別記事(売り込まないヒアリング)で解説しています。

説得の価値観10——顧客の頭の中にある10個の関門

お客さんはプレゼンを聞きながら、頭の中で順番にこう考えています。

説得の価値観10・全体マップ

# 関門 顧客の心の声 あなたがやること
興味性 これ、聞く価値ある? 場を温めてから「一番欲しい結果」を問いかけ、返事を待つ
自己開示 そもそも、あなた誰? 理念→信念ストーリー→借りた実績の順で名乗る
それ実現したら、いいなあ ①の問いを同じ言葉で回収し、実在の事例を見せる
問題提起 でも、このままでもいいか… 堂々と、一般論とメタファーで痛みを言語化する
ノウハウ で、どうやるの? 診断→原因→解決策→未来までの道のり→命名。出し惜しみ禁止
メリット それ、自分に何の得が? 機能ではなく生活の変化で語り、金銭価値を計算して見せる
価格 いくら? 理想→現実→価値総額→市場価格→今回の価格の5段で出す
限定性 今じゃなくてもよくない? 構造的に本当の「今決める理由」だけを正直に伝える
不信の払拭 でも不安なんだよな… 断り文句5つを先回りで潰す。うますぎる話は正直さで潰す
後押し ……よし、やろう 数字を埋めた3ステップ+特典+「一緒にやりませんか」

ルールは2つだけです。順番を入れ替えない。飛ばさない。

ここから、実務でつまずきやすい関門に絞って深掘りします。

①〜③:興味を作ってから名乗り、夢で回収する

①興味性は、内容ではなく「聞く姿勢」を作る関門です。アイスブレイクで場を温めたら、こう切り出します。

「最初に、一つだけ質問させてください。もし、〈相手が一番欲しい結果〉が手に入るとしたら、欲しいと思いませんか?」

言ったら、黙って返事を待ちます。返事をもらうことで、プレゼンは「聞かされる時間」から「自分の話」に変わります。NGは、場が温まった後でも自己紹介から始めること。興味を作ってから名乗る、の順番です。

②自己開示は「名乗り→理念・ビジョン→信念ストーリー→後ろ盾→実績」の順。理念と原体験が抜けると、どれだけ実績を並べても「業者」に見えます。実績がまだ無い1年目の合言葉は、実績は「盛る」のではなく「借りる」

「〇〇のスクールで学び、現役で成果を出している〇〇さんに師事しています」 「この提案は、〇〇の実績がある〇〇さんに監修に入ってもらっています」

③夢では、①で立てた問いをまったく同じ言葉でもう一度出し、その未来が実在することを事例で見せます。ゴールは相手の口から「いいですね」を引き出すこと。

④〜⑤:問題提起は堂々と、ノウハウは出し惜しみしない

④問題提起でやりがちな失敗は「言いにくいんですが…」とおどおど切り出すことと、「このままだと潰れますよ」と脅すこと。正解は、主語を一般論にして堂々と伝えることです。

「これは〇〇さんが、というより、同じ形でやられている方に共通して起きていることなんですが——」

そして痛みはメタファーで一撃で伝えます。「栓が抜けたバスタブに水を注いでいる状態」のような、絵が浮かぶ一枚を自分の商材で1つ作っておくと、プレゼン全体の背骨になります。

⑤ノウハウは「現状の診断→原因の特定→解決策→理想の未来までの道のり→解決策への命名」の構成。ここでの最大の誤解が「全部教えたら自分でやられて仕事にならないのでは?」ですが、逆です。**「詳しくは契約後に」は、この世で一番嫌われる営業です。**契約しなくても実行できるレベルまで渡した人だけが、「ここまで渡してくれるなら、任せたほうが早い」を引き出せます。

⑥〜⑦:価値を積み切ってから、価格を5段で出す

⑥メリットのコツは2つ。機能ではなく生活の変化で語ること(「ホームページを自動化できます」ではなく「朝起きたら、問い合わせが入っています」)。そして相手に電卓を叩かせないこと。

「仮に月3件増えたとすると、客単価〇万円で月〇万円。年間で〇〇万円。数年続けば生涯価値では〇〇〇万円以上になります」

メリットがどの欲求に刺さっているかは、欲求のピラミッドで確認します。

欲求のピラミッド・9マス

⑦価格は出す順番まで決まっています。

  1. 理想の完全形(満額プラン)を見せる——売れなくていい基準(アンカー)
  2. 相手の言葉を引用して現実プランに落とす——「『まずはお試しで』とおっしゃっていたので」
  3. 価値の総額を積む
  4. 市場価格を見せて一拍おく
  5. 今回の価格を言う

価値の総額 >>> 市場価格 > 今回の価格。この不等式が数字で成立してから金額を言います。値引きには必ず理由を添えること。理由のない安さは価値を毀損し、逆に警戒されます。

⑧〜⑩:嘘のない限定、先回りの不安潰し、そして後押し

⑧限定性で使っていいのは、構造的に本当の理由だけです。「全力でやるので同時進行は〇件まで」「実績づくりの段階なのでこの条件は今だけ」。嘘の「今日までです!」は、バレた瞬間に信用が全額吹き飛びます。

⑨不信の払拭——「検討します」の中身は実は5つしかありません。お金・時間・自分にできるか・本当に効果があるか・リスク。「よくいただくご質問なんですが——」と自分で出して自分で答え、先回りで潰します。条件を良くしすぎた提案に残る「うますぎる話では?」は、正直さでしか潰せません。

「なぜここまでするかと言うと、正直、私がいま事例と実績を必要としているからです。だから中途半端なものは絶対に作りません」

⑩後押し——「ご検討ください」で終わった提案は、検討されません。次の一歩を数字を全部埋めた3ステップで示し、リスクリバーサル(「まず私が〇〇まで作ります。見てから判断してください」)と、本当に渡せる特典を添えて、最後はこう締めます。

「全力でやります。一緒にやりませんか?」

商談前チェックリスト

商談前チェックリスト

  1. 聞く日と話す日を分けたか。診断・引用・不安潰しの弾はヒアリングから拾ったか
  2. ①②を飛ばして⑤から始めていないか。⑥の前に⑦を出していないか
  3. ①の問いを③で同じ言葉で回収する設計になっているか
  4. ②は理念→信念→借りた実績の順か。⑤は出し惜しみしていないか
  5. ⑥で月商→年商→生涯価値まで計算したか。⑦は5段で組んだか
  6. ⑧は本当の限定だけか。⑨の断り文句5つを先回りしたか。⑩の3ステップの数字は埋まっているか

次のプレゼンの前に、①から⑩の順に自分の商材を当てはめてください。台本がそのまま1本できあがります。

最後にひとつだけ精神論を。型は武器ですが、武器を持って商談の場に立つのはあなた自身です。型が活きるのは、数を打った人だけ。ここだけは気合で押し切ってください。

よくある質問(FAQ)

Q.実績がほぼゼロでも、この順番で提案は通りますか?

A.通る可能性は十分あります。②自己開示の実績は「盛る」のではなく「借りる」のが基本です。学んだ先・師匠・監修者・参加した案件の固有名詞で信頼を補完すれば、嘘をひとつも使わずに「あなた誰?」の関門を越えられます。

Q.10ステップを1回の商談で全部やるのですか?

A.説得の価値観10は「ヒアリングが終わったあとのプレゼンの場」で使います。初回はヒアリングに徹し、2回目の面談で①から⑩を順番に話すのが基本形です。慣れてきたら1回の面談の前半をヒアリング、後半をプレゼンにして圧縮できます。

Q.価格はいつ・どう伝えればいいですか?

A.⑥でメリットと金銭価値(月商→年商→生涯価値)を積み切ってから、⑦で「理想プラン→現実プラン→価値総額→市場価格→今回の価格」の5段で出します。価値が伝わる前に価格を出すと、いくらであっても「高い」と感じられます。

Q.「ご検討ください」で商談を締めるのはなぜダメなのですか?

A.その場で決まらなかった案件の成約率は時間とともに下がっていくからです。⑩では数字を埋めた3ステップと特典を示し、「一緒にやりませんか」と背中を押すところまでがプレゼンです。